遊山箱について
Do You Knou "YUSANBAKO"?
大切にされているという想いを、
この小さな宝箱からあなたに受け取ってほしい
「 遊山箱(ゆさんばこ) 」
なんとも懐かしい響きです。
徳島で生まれ育った人にとって馴染みの深い思い出いっぱいの春の宴のお弁当箱です。
「雛祭り」は一般的に女の子の祭りですが、徳島のこの日(1ヶ月遅れの4月3日)は
男の子も、女の子も一緒に遊山箱にご馳走を詰めて遊山やまにて弁当を広げて遊びます。
陣地を作ったり秘密基地などもわくわくしました。
れんげ畑を横目に、タンポポや菜の花など、春の色につつまれながら野山を駆け回ります。
谷の向こう側にも同じように遊ぶ子を見つけては、声を張り上げて呼んでみたりして
日が暮れるまで遊んだものです。
徳島ではこれを「遊山する」と言います。
遊山するための弁当箱で「遊山箱」と言います。
子供のためのお弁当箱ですから手のひらに乗せられるくらいの大きさです。
野山で食べては箱が空になると家へ戻って、またご馳走を詰めてもらう。
普段は食べられない巻き寿司や甘い寒天などのご馳走です。
何度家と山とを往復したことでしょうか。
「遊山は春の農始め」と言われ、お米作りと深い関わりがあるそうです。
「遊山やま」には神様がいて、遊山やまと里を行き来して遊ぶ子供達について
田の神様が里に降りてきて「田おこし」が始まるという大切な節句の習わしです。
従って地域により、遊び方がそれぞれ違ってきます。
海辺の子は浜に
川辺の子は堤防に
城下町では眉山(びざん)や、お友達のお雛様の前にて遊山箱を広げます。
かつて幼い日に遊山箱を持って遊んだ経験のある人たちは、目を輝かせて楽しかった様子を
話してくれます。
それはまるで昨日の出来事のごとく、遊山箱のご馳走の香りや彩りまで覚えていて
話題が弾みます。
ご馳走を準備する華やいだ台所、普段農作業で家にいなかった両親がその日だけは家にいて、自分のためにご馳走を準備して待ってくれている。
それはもう、何十年経った今でも、思い出すだけでぎゅうっと抱きしめたい、
心の中をじんわり暖かく包んでくれる、今の私を作っている大切な記憶です。
時代は変わりましたが、昨今のお忙しい親御さんとお子さんの関係に
通ずるものがあると感じます。
先日、3人の娘さんのために遊山箱を誂えたいと遠方から親子で来てくださいました。
娘さんはそれぞれに好きな柄の遊山箱を選び、大変喜んでおいででした。
大切なのは遊山箱そのものではなく、はるばる徳島まで来て自分だけに用意してくれたということ。あなたのことをこんなに大切に想っているというお母様の気持ち。
その思いをずっと覚えていてほしい。
遊山箱を手渡す時にはいつもそう願っています。
大切な誰かに、大切に想う気持ちを贈る遊山箱。
どうぞ、遊山箱を通して、手にした方の幸せな記憶が一つでも多くなりますように。
徳島は古くから材木の産地で、木材加工においても江戸時代の阿波藩の有力な水軍を支えた船大工の高度な技術が伝承されてきました。
杢張り(もくはり)という木工技術を活かし、美しく塗装をして仕上げた遊山箱は、野山への行楽(遊山)や雛まつりの弁当箱として子どもたちが使った三段重ねの重箱です。古くは江戸時代のものもあり、徳島では大正から昭和戦前期には、どの家庭でも愛用されていました。
いちかわの遊山箱
いちかわの遊山箱へのこだわり
・全て日本の信頼のおける職人へ直接お願いして作っています。
一つ一つ手作りです。木材加工、塗り、絵付け、等たくさんの工程を経て、いちかわの遊山箱となります。
・使っていただける方を第一に考え、品質、使い勝手、管理、価格、好みなどバランスの良い商品を取り揃えています。
・ご希望がありましたら名入れのサービスを行っています。お子様やお孫様へのプレゼントで大変ご好評をいただいております。
・手描きの特注品も扱っております。
「こんな遊山箱が欲しい」とのご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。
(現在までに、「鯉のぼり」「お雛様」「とんぼ」「四葉のクローバーとてんとうむし」等の注文をいただいております。)
出産のお祝いに
へその緒や命名札、安産のお守りやマタニティマーク、少し大きくなれば抜けた歯などの保管にもぴったりです。
初節句のお祝いに
お雛様や兜の横に飾ることでさらに華やかに。
七五三のお参りでもお着物によく似合います。
母の日や敬老の日、または誕生日のお祝いに
遊山箱に馴染みのある方なら、懐かしさも相まって素敵な思い出話が聞けるかもしれません。
入籍・結婚のお祝いに
リングピローや婚姻届などの保管に。箱を開くたびに幸せな気持ちを呼び起こします。
ウェルカムスペースも華やかに演出します。
お食い初めや
お誕生日のお祝い膳、
季節の食卓を彩る器として
Photo : テーブルコーディネイトスタジオ
ON THE TABLE
重なりを生かし、アフタヌーンティーやお茶席でのお菓子の器として
Photo : 遊山箱文化保存協会